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靴のこと、サスティナブルなスタイルのこと

靴の甲部分の素材について

2021.09.29

靴の甲部分(以降、アッパーと呼びます)の甲部分(以降、アッパーと呼びます)に使用する素材をサステナビリティの観点から検討した際、

牛などの本革と、人工皮革どちらを使用するかが最初の課題としてありました。


※人工皮革は、牛・豚・羊の皮革を人工的に再現したもので、本革のコラーゲン繊維構造に似た特殊な不織布にポリウレタン樹脂を絡ませたものをベースとしています。

その表面に樹脂加工を施し、滑らかで高級感のある風合いを表現しています。


結果として、shuuiではアッパーに人工皮革を使用することを選びました。

大きな理由のうち3つをご紹介します。


①生産時の環境負荷の差

②輸送にかかる環境負荷の差

③毎日履きたくなる丈夫さ、お手入れのシンプルさ


①本革は、食用肉の副産物です。食肉用に動物を育てるためには、膨大な量の土地、飼料、水が必要です。

また、畜産業は温室効果ガス排出の大きな要因となっており、国連食糧農業機関(FAO)によると、年7.1ギガトン(CO2換算)を排出しています。

これは人為的に排出されている温室効果ガスの約15%に相当します。

人工皮革は近年、より環境に優しい製造方法が研究され、実現してきました。例えばクラレの「ティレニーナ®」は製造プロセスを従来に比べて最短5分の1に短縮することに成功し、製造工程における温室効果ガスの排出量を大きく削減しています。


②婦人靴のアッパーに主に使われる本革は、牛の革です。皮をはいだ後、防腐処理を施した状態の皮を原皮と言います。

原皮の約8割は、北米、オーストラリア、ヨーロッパなどから輸入されています。

牛や馬の原皮は年間1万トン以上が輸入されているのに対して、人工皮革は基本的に国産です。その輸送においては大きな環境負荷の差が考えられます。


③本革はお手入れにコツが必要で、より水に弱く、「履くのがもったいない」と本革のオーダーシューズを大切にしまい込んでしまう方も多いと聞きます。

その点人工皮革はお手入れがシンプルで、日常的に履いていただくことができます。

どんなものでも、製造する以上は環境に一切関与しないということはありません。

であれば、より少なく作り、買っていただいたものをしまい込ませず、しっかり役目を果たすまで使い切っていただくこと。それが、遠くでサステナビリティに繋がってくると思うのです。


shuuiでは、意匠の観点から今はポリウレタン樹脂を使用した人工皮革を使用しています。

ですが、よりポリウレタンの配合比率を低くした人工皮革や再生原料を使用した布素材など、今後もエコ素材の開拓を継続していきます。


最後に、本革は(爬虫類などのエキゾチックレザーを除き)ほぼ100%食肉の副産物ですから、肉食文化がある限り、頂いた命を無駄にせず使い切るという意味で

素晴らしい素材であることは間違いないことを書き添えておきます。


それぞれのアプローチ方法で、まずは出来るところから、皆様と一緒にサステナブルな暮らしに近づいていきたいと考えています。


引用

https://www.tokyo929.or.jp/column/cloth/2.php

http://www.fao.org/3/i8384en/I8384EN.pdf

https://goto-leather.co.jp/cowleather

https://jp.gdfreak.com/public/detail/jp01009000125012000l/2

https://data.jlia.or.jp/boueki.html

https://www.jcfa.gr.jp/about_kasen/katsuyaku/27.html